ハンカチとはちみつを持ってあらいぐまさんのお家にやってきた2人。
わけを話すと、あらいぐまさんは二つ返事で引き受けてくれました。
そして2人がお茶とおやつをいただいている間にあっという間にマントを作ってくれました。
「はい!できたよ!結びやすいようにリボンもつけといたからね。ペンちゃん、こっちおいで。結んであげるから」
あらいぐまさんは器用な手先で出来立てのマントをペンちゃんにつけてくれました。
「あぁ、いいね!鏡見てごらん、似合ってるよ。本当にお花畑みたいだ」
ペンちゃんは鏡に映る自分を見てびっくり。
「わぁ、すごい綺麗!!ぼく、お花畑みたいだ」
小さな身体のペンちゃんのマント姿は、まるで花嫁さんが長いヴェールをかぶっているように見えます。
「ペンちゃん、すっごく似合ってるよ!これなら蝶々さんも気づいてくれるよ!!」
2人はあらいぐまさんにお礼を言って、その足でいつも星空を見上げている丘のてっぺんにやってきました。
はちみつが入った器を手に持ってお花畑に変身したペンちゃんの横に、しろくまさんが寄り添っています。
2人は虹色蝶々さんに話しかけました。
「虹色蝶々さん、さっきは驚かせてごめんなさい。もしよかったらぼくたちとお友だちになってくれませんか?」
すると、その呼びかけに応えるかのように天から虹色蝶々さんが舞い降りてきました。
蝶々さんは2人に語りかけます。
「2人のこと、ずっと見ていましたよ。タンポポさんの言うとおりでした。みんなに元気と勇気を届けたくて一生懸命な子たちがいるから私の代わりに会いに行ってほしいって頼まれたんです」
「ここからはタンポポさんからの伝言です。ペンちゃんたちの願いはちゃんと届きましたよ。みんなが私たちを遠くへ飛ばしてくれたから、私たちはそれぞれの場所でペンちゃんのような子たちとたくさんお話できました。すると、一人また一人と自分もペンちゃんのような願いを叶えたい!と言って笑顔になって帰っていきました。ペンちゃんの願いを叶えるお手伝いをできて本当に幸せです。ありがとう」
「蝶々さんに道案内を頼んであるので、私たちがまた綿毛になってしまう前に会いにきてくれませんか?またお話できるのを楽しみにしています」
タンポポさんからの伝言はこれでおしまい。
「蝶々さん、タンポポさんの言葉を届けてくれてありがとう。ぼくからも伝言お願いしていいですか?」
「いいですよ」
「タンポポさん、約束を守ってくれてありがとう。とっても嬉しいです。春になったら会いに行くので待っててください。ぼくもタンポポさんとまたお話できるのを楽しみにしています」
伝言を言い終えたあと、ペンちゃんは尋ねました。
「蝶々さん、春になったらぼくたちを迎えにきてくれますか?」
すると蝶々さんは
「伝言、ちゃんとお預かりしました。春になったらまたお迎えにあがりますね」
「ペンちゃん、しろくまさん、私たちもこれでお友だちですね。せっかく用意してくださったので、はちみつを一口いただきますね。」
そう言ってはちみつを一口吸ってから
「あぁ綺麗なお花畑、ありがとう」
そう言い残して虹色蝶々さんはまた空高く舞い上がっていきました。
「虹色蝶々さ〜ん、ありがとう〜!!また会おうね〜!!」
2人は最初に出会った時と同じか、それ以上に大きな声で蝶々さんを見送りました。
蝶々さんが見えなくなるまで見送ったあとのペンちゃんはというと…。
「ねぇ、しろくまさん。はちみつ食べていい?」
「もぅ!そう言うと思ったよ」
そう言って笑い合いました。
春が来るのが待ち遠しいですね。
あなたには春になったら会いに行きたい人はいますか?
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