【物語】タンポポさんからの伝言🐧🌼🦋④

ハンカチとはちみつを持ってあらいぐまさんのお家にやってきた2人。

わけを話すと、あらいぐまさんは二つ返事で引き受けてくれました。

そして2人がお茶とおやつをいただいている間にあっという間にマントを作ってくれました。

「はい!できたよ!結びやすいようにリボンもつけといたからね。ペンちゃん、こっちおいで。結んであげるから」

あらいぐまさんは器用な手先で出来立てのマントをペンちゃんにつけてくれました。

「あぁ、いいね!鏡見てごらん、似合ってるよ。本当にお花畑みたいだ」

ペンちゃんは鏡に映る自分を見てびっくり。

「わぁ、すごい綺麗!!ぼく、お花畑みたいだ」

小さな身体のペンちゃんのマント姿は、まるで花嫁さんが長いヴェールをかぶっているように見えます。

「ペンちゃん、すっごく似合ってるよ!これなら蝶々さんも気づいてくれるよ!!」

2人はあらいぐまさんにお礼を言って、その足でいつも星空を見上げている丘のてっぺんにやってきました。

はちみつが入った器を手に持ってお花畑に変身したペンちゃんの横に、しろくまさんが寄り添っています。

2人は虹色蝶々さんに話しかけました。

「虹色蝶々さん、さっきは驚かせてごめんなさい。もしよかったらぼくたちとお友だちになってくれませんか?」

すると、その呼びかけに応えるかのように天から虹色蝶々さんが舞い降りてきました。

蝶々さんは2人に語りかけます。

「2人のこと、ずっと見ていましたよ。タンポポさんの言うとおりでした。みんなに元気と勇気を届けたくて一生懸命な子たちがいるから私の代わりに会いに行ってほしいって頼まれたんです」

「ここからはタンポポさんからの伝言です。ペンちゃんたちの願いはちゃんと届きましたよ。みんなが私たちを遠くへ飛ばしてくれたから、私たちはそれぞれの場所でペンちゃんのような子たちとたくさんお話できました。すると、一人また一人と自分もペンちゃんのような願いを叶えたい!と言って笑顔になって帰っていきました。ペンちゃんの願いを叶えるお手伝いをできて本当に幸せです。ありがとう」

「蝶々さんに道案内を頼んであるので、私たちがまた綿毛になってしまう前に会いにきてくれませんか?またお話できるのを楽しみにしています」

タンポポさんからの伝言はこれでおしまい。

「蝶々さん、タンポポさんの言葉を届けてくれてありがとう。ぼくからも伝言お願いしていいですか?」

「いいですよ」

タンポポさん、約束を守ってくれてありがとう。とっても嬉しいです。春になったら会いに行くので待っててください。ぼくもタンポポさんとまたお話できるのを楽しみにしています」

伝言を言い終えたあと、ペンちゃんは尋ねました。

「蝶々さん、春になったらぼくたちを迎えにきてくれますか?」

すると蝶々さんは

「伝言、ちゃんとお預かりしました。春になったらまたお迎えにあがりますね」

「ペンちゃん、しろくまさん、私たちもこれでお友だちですね。せっかく用意してくださったので、はちみつを一口いただきますね。」 

そう言ってはちみつを一口吸ってから

「あぁ綺麗なお花畑、ありがとう」

そう言い残して虹色蝶々さんはまた空高く舞い上がっていきました。

「虹色蝶々さ〜ん、ありがとう〜!!また会おうね〜!!」

2人は最初に出会った時と同じか、それ以上に大きな声で蝶々さんを見送りました。

蝶々さんが見えなくなるまで見送ったあとのペンちゃんはというと…。

「ねぇ、しろくまさん。はちみつ食べていい?」

「もぅ!そう言うと思ったよ」

そう言って笑い合いました。

春が来るのが待ち遠しいですね。

あなたには春になったら会いに行きたい人はいますか?

https://stand.fm/episodes/65a49c30715d5dc87ad72f62

 

 

【物語】タンポポさんからの伝言🐧🌼🦋③

ハンカチとはちみつを集めるために歩き出したペンちゃんとしろくまさん。

ワクワクしながら歩いている2人を見て、丘のお友だちたちが声をかけてきます。

わけを話すと、みんなしろくまさんのアイデアに賛成して応援してくれました。

まずはハンカチを譲ってもらうためにすずめさんのところに行きました。

すずめさんは水浴びが大好きな綺麗好き。

染め上がった布を洗って綺麗に整えます。

わけを話したら

気持ちよくハンカチを譲ってくれました。

次は、はちみつを譲ってもらうためにはちさんの巣に向かいました。

働きばちさんが2人に気づいて話しかけます。

わけを話したら、やっぱり気持ちよくはちみつを譲ってくれました。

「ねぇ、しろくまさん。ぼくね、実はこんなにすぐに譲ってもらえるなんて思ってなかったんだ。みんなが大切につくりあげたものを預かったんだから、虹色蝶々さんとお友だちになりたいな。なれるかな?」

「うん、きっとなれると思うよ。さぁ、次はハンカチをマントにしてもらうためにお裁縫が得意なあらいぐまさんのところに行こう!」

「うん、そうだね!!」

みんなの想いがつまったハンカチとはちみつを携えたペンちゃんとしろくまさんは、とっても楽しそうです。

そんな2人の姿を離れたところから見守る存在がいます。

その存在は、なんだか虹色に輝いているように見えました。

https://stand.fm/episodes/65a491f434c312b09497be01

 

 

【物語】タンポポさんからの伝言🐧🌼🦋②

目を白黒させているペンちゃんを見て

しろくまさんは面白がっています。

「ねぇ、しろくまさん、笑ってないで教えてよ!いい方法知ってるんでしょ?」

羽をバタバタしながらくちばしをさらに尖らせるペンちゃんを見てしろくまさんは

「ごめんごめん。今からぼくの考えを話すね」

そう言うと

2人は身を寄せ合ってこそこそ話し始めました。

「ねぇ、ペンちゃん。去年のクリスマスに丘の上のクリスマス会を開いたでしょ?丘のお友だちが色んなお店を出して大人たちをもてなして、すっごく喜ばれたよね」

「その中で花びら染めのお店が出店されてたの覚えてる?自然に咲いているお花の色素で布を綺麗に染めるんだよ!」

「優しい色で染められたハンカチが大人たちに大人気だったよ!」

それを聞いてペンちゃんはキョトンとしています。

「え〜、そんなお店あったっけ?ぼく自分のお店の仕事も忙しかったし、休憩時間はスイーツのお店を回るのに忙しくて全然気づかなかったよ」

「もう〜、ペンちゃんはほんといつも食べ物のことばっかりなんだから…」

しろくまさんの言うことなんてまるで聞いていないペンちゃんは

「ねぇねぇ、それでそれで?お花畑にはどうやってなるの?」

「あのね、クリスマス会のために用意したハンカチがまだたくさん残ってるって聞いたんだ。それでそのカラフルなハンカチをつなげて大きなマントみたいにしてペンちゃんがつけたら、まるでお花畑みたいに見えるんじゃないかな?って思ったんだよね」

そこまで聞いたペンちゃんはしろくまさんのことをキラキラした目で見つめて言いました。

しろくまさん、すごい!!天才だね!!」

「えっ!?そう?ありがとう!それでね、お花の密は用意できないけど、はちみつなら用意できるから、それで蝶々さんをおもてなししたらどうかなと思うんだ」

「わぁ、なんかその話を聞いたら出来そうな気がしてきた!」

「そう思う?じゃあ決まりだね。さっそくハンカチとはちみつを集めにいこうか!」

「うん!!行こう行こう!!」

2人はワクワクしながら歩き出しました。

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【物語】タンポポさんからの伝言🐧🌼🦋①

もう雪も溶けて大地の表面から新芽が出始めてくる季節になりました。

南極生まれのペンちゃんは冬が大好き。

丘のお友だちがみんな「寒いから早く春がこないかなぁ」と言っていても、しろくまさんと2人で冬を楽しんでいました。

でも大地からひょこっと顔を出してきた新芽を見て、ペンちゃんはあることを思い出しました。

「そういえば、タンポポさん元気かなぁ。今頃どうしてるんだろう?」

すると、しろくまさんが

「去年丘のみんなで綿毛を飛ばしたよね。遠い街に住んでいるお友だちに元気と勇気届いたかな?」

それを聞いてペンちゃんはちょっと心配になってきました。

「ちゃんと届いたかどうかを知る方法ってないのかな?」

「う〜ん、タンポポさんがどこに飛んでいったのかがわかればいいんだけどね」

2人がそんなふうに語り合っていると、2人の間にひらひらしたものが飛んできました。

よく見ると、虹色をした蝶々でした。

2人はほぼ同時に

「わぁ、綺麗!!」

と叫びました。

その声にびっくりしたのか、すぐに蝶々は2人から離れていってしまいました。

ペンちゃんは

「蝶々さん、待って〜!」

と追いかけました。

でも蝶々さんのスピードには追いつけません。

息を切らしてしろくまさんのところに戻ってきたペンちゃん。

「ペンちゃん、大丈夫?ペンちゃんが蝶々さんを追いかけるのはちょっと無理があるんじゃない?」

「う〜ん、わかってるけどつい夢中になって追いかけちゃったんだ」

「ねぇ、しろくまさん。どうしたらもう一度虹色の蝶々さんに会えると思う?」

「う〜ん、そうだなぁ。蝶々さんと仲良くしたかったら追いかけないほうがいいんじゃないかなぁ。蝶々さんは綺麗なお花畑をお散歩して密を吸うのが好きだから…ペンちゃんがお花畑になればいいんじゃない?」

それを聞いたペンちゃんは

「え〜!!ぼくがお花畑になるの!?確かにすごくいいアイデアだと思うけど…どうやってなるの!?」

しろくまさんからの予想外の提案にペンちゃんは目を白黒させてしまいました。

https://stand.fm/episodes/65a4855c9bfee34e9995a8c7

 

 

自分に夢中

この世に生まれてきたのなら

自分に夢中になろうよ

自分に夢中になるって素敵だよ

無我夢中って、我を忘れて没頭すること

我を取り去った本当の自分が現れている奇跡の瞬間 

これって、自分の中に宿る神さまの姿と一緒

自分に夢中になると神さまと出会える

外に探しに行かなくてもいいんだよ

いつでも神さまは自分の中にいる

一生懸命苦しみながら人の役に立とうとしなくても大丈夫

神さまがいっぱいいる世界になったらみんな一緒だから

いつも自分の中の神さまを感じながらそこにいる

ただそれだけで幸せの循環がとまらなくなる

https://stand.fm/episodes/656ef3df6d8208f7ddf62bed 

 

 

【エッセイ】辰の風に吹かれて

2024年1月1日の朝9時に家を出発。

例年通り家族3人で歩きながら地元の氏神様のもとへお詣りに行く。

年々息子が歩くスピードが速くなり、本来なら数十メートルも距離があいてしまうところだけれど、最近は歩くスピードを私に合わせてくれるようになった。

そういう気遣いを感じると、あぁ成長したな…と密かに心の中で嬉しく思う。

そして今年の初詣は例年とは明らかに違うことがもう一つあった。

それは風だ。今年は辰年

家を出発した時から帰ってくるまでの間、ずっと風が吹き荒れていた。

家を出発してしばらくは単に今日は風が強いな~と思い、コートの前を両手で押さえながら歩いていた。

でも止むことのないあまりの強風にふと気づく。

あぁ、辰の風だ…と。

夫と息子に、辰年だから辰のエネルギーの風なんだよ!!と一人で力説しながら神社まで歩いた。

本当に風が強かったから2人とも納得していたように感じた。

神社に着いてからは例年通り、去年のお守りを納めてから参拝。

おみくじをひいてから新たなお守りを購入。

お囃子と獅子舞はまだ準備中で見られなかった。

何歳くらいまでだろう?

毎年息子の頭を獅子舞に噛んでもらっていたのは…。

帰り道も風の勢いは弱まらない。

辰の風だと思い込んだ私は、寒くても髪の毛が乱れてもこの風はありがたく縁起の良いものだと思い全身で風を感じながら帰宅した。

夫はわざとらしく両手を広げながら歩いたりしていた。

そしてなぜかお散歩中のワンちゃんに好かれてしまい、飼い主さんにしきりに謝られていた。

強風に煽られながらも穏やかで平和な元日。

辰の風は勇ましい。

辰の背に乗ればどこまでも昇っていけそうな気がしてしまう。

でも芯がなければ辰の背から振り落とされてしまう。

私の芯は何か?

あなたの芯は何か?

私に芯はあるか?

あなたに芯はあるか?

辰の背に乗る準備はできていますか?

https://stand.fm/episodes/65961390f1e3392ab1c22a47

 

 

【エッセイ】一期一会

一期一会…誰でも聞いたことがある日本のことわざ。

最近改めてこの四字熟語の意味を噛み締めている。

人は生まれてくる時も死ぬ時も一人きり。

社会生活を営んで人間関係を築いていても、根底では孤独の精神が常につきまとう。

人間はどう足掻いても孤独だけれど、一人きりでは生きられないから同じ人間と関係を結ぶ。

人間関係を面倒だと思いながらも、誰かと繋がり心を通わせたいと思ったり、認められたいと思ったりする。

そのためにはある程度持続的で固定した関係性が必要になる。

だからリアルな生活でもSNSでも強固な絆を結びたいと考える人もたくさんいる。

でも私は「絆」と呼ばれるものには注意が必要だと思う。

その「絆」というのは一方が感じているだけでは成立しない。

しかも持続的に、というのはかなり難しい。

人間は心変わりする生きものだから。

そして関係が強固なものほど自由を奪われる。

自由と絆を天秤にかけると、強固な関係というものを手放しでは喜べない。

そんな難しいことに悩むぐらいなら「一期一会」の言葉通りに、一瞬一瞬を大切に生きるほうが余程幸せだと感じる。

今日も明日も明後日も関わるであろう人との関係も変わらない持続的なものだと思わずに接する。

安心な人間関係を担保しようと考えてしまうのは、自然なことで決して悪いことではない。

でも安心を担保するために相手に執着して生霊を飛ばしたりするのは最悪。

安心を担保しようとして人間関係を必要以上に広げすぎると自分に向き合う時間を失くし、自分の人生を失う。

人生とは天秤ばかりを両手に持ちながら綱渡りしているようなもの。

たくさんのものを抱えてバランスを維持するのは難しい。

だから「一期一会」の精神で生きていく…それが身軽でいい。

担保のない人生は不安で孤独かもしれない。

でもそれを受け入れる覚悟があれば、とても気持ちのいい人間になれる気がする。

今日も「一期一会」で繋がれたあなたに、ありがとうと言いたい。

https://stand.fm/episodes/65169732a423879eed1710a4