もう雪も溶けて大地の表面から新芽が出始めてくる季節になりました。
南極生まれのペンちゃんは冬が大好き。
丘のお友だちがみんな「寒いから早く春がこないかなぁ」と言っていても、しろくまさんと2人で冬を楽しんでいました。
でも大地からひょこっと顔を出してきた新芽を見て、ペンちゃんはあることを思い出しました。
「そういえば、タンポポさん元気かなぁ。今頃どうしてるんだろう?」
すると、しろくまさんが
「去年丘のみんなで綿毛を飛ばしたよね。遠い街に住んでいるお友だちに元気と勇気届いたかな?」
それを聞いてペンちゃんはちょっと心配になってきました。
「ちゃんと届いたかどうかを知る方法ってないのかな?」
「う〜ん、タンポポさんがどこに飛んでいったのかがわかればいいんだけどね」
2人がそんなふうに語り合っていると、2人の間にひらひらしたものが飛んできました。
よく見ると、虹色をした蝶々でした。
2人はほぼ同時に
「わぁ、綺麗!!」
と叫びました。
その声にびっくりしたのか、すぐに蝶々は2人から離れていってしまいました。
ペンちゃんは
「蝶々さん、待って〜!」
と追いかけました。
でも蝶々さんのスピードには追いつけません。
息を切らしてしろくまさんのところに戻ってきたペンちゃん。
「ペンちゃん、大丈夫?ペンちゃんが蝶々さんを追いかけるのはちょっと無理があるんじゃない?」
「う〜ん、わかってるけどつい夢中になって追いかけちゃったんだ」
「ねぇ、しろくまさん。どうしたらもう一度虹色の蝶々さんに会えると思う?」
「う〜ん、そうだなぁ。蝶々さんと仲良くしたかったら追いかけないほうがいいんじゃないかなぁ。蝶々さんは綺麗なお花畑をお散歩して密を吸うのが好きだから…ペンちゃんがお花畑になればいいんじゃない?」
それを聞いたペンちゃんは
「え〜!!ぼくがお花畑になるの!?確かにすごくいいアイデアだと思うけど…どうやってなるの!?」
しろくまさんからの予想外の提案にペンちゃんは目を白黒させてしまいました。
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