【エッセイ】ヒーローになれない人

皆んなの憧れや希望の星であるヒ―ロ―。

あなたは誰を思い浮かべるだろうか?

私がぱっと思いついたのはアンパンマン

でもアンパンマンのようになれる人間はそうそういない。 

どちらかというとバイキンマンのほうが人間らしく見える。

アンパンマンvsバイキンマンの構図は、陰と陽の組み合わせと同じように見える。

ヒ―ロ―というと陽の部分ばかりが目立つ。

バイキンマンの存在は陽に偏りすぎないように陰の存在をアピールしてバランスをとっているように見える。

でもバイキンマンアンパンマンがいなくなると困るからピンチの時には助ける。

陰で全てが覆われてしまうことにはきっと抵抗があるのではないか…。

ヒ―ロ―になりたくてもなれなくて悲しみや怒りを抱えている人はいないだろうか?

バイキンマンに親しみを覚える自分を恥じたりしていないだろうか?

二元性の世界を生み出した存在は何を求めているのだろう?

別に何も求めていないのかもしれない。

この世界に意味なんてないのかもしれない。

私たちが生きることにたいして、かろうじて意味らしきものを見い出せるのは二元性の世界だからじゃないだろうか。

アニメを通じてわかりやすく陰と陽の世界を見せられていると、子ども心にも色んなことを学べると思う。

勧善懲悪なんていう単純な世界ではなく、もっと深い人間の業のようなものを無意識に疑似体験する。

全てを含んだ愛と赦しの精神を持った人間は成熟している。

いたずらにヒ―ロ―に憧れたり賛美したり、悪役を毛嫌いすることもなくなる。

この世の法則はシンプルだけど、人間の業がシンプルなものを複雑にしている。

二元性の世界を生み出したものからしてみれば、ヒ―ロ―も悪役も同じなのかもしれない。

その世界の中で人間が幾度となく繰り返してきた業を高次元へと昇華させられるのかどうか…それを高みの見物をしているものもいれば、サポートしてくれているものもいるのかもしれない。

不謹慎かもしれないけれど、大きなショ―の舞台に立たされていると考えたら自分はどんな役を担いたいのだろうか?そんな視点で人生を捉えてみると楽しいかもしれない。

ヒ―ロ―と悪役とそれに翻弄される民衆以外にもたくさん魅力的な役があると思う。

今ないのなら自分でつくりだしてみよう。

自分の人生を生きるための役なのだから。

https://stand.fm/episodes/659f757cf454f20ac10d5f27