【小さなお話】マントの秘密

今日は12月24日のクリスマスイヴ。

テントウ虫のなな星くんとふた星ちゃんは、サンタクロースを一目見たくて冬眠時期を遅らせて今日の日を迎えました。

もうすぐ日付けが変わろうとする頃、トナカイのひくソリに乗って大忙しで仕事をこなすサンタクロースは不思議な光景を目にしました。

皆が寝静まり家々の明かりも消えた真っ暗な地上でただ1箇所だけが光っているのです。

横目でちらりと確認すると、2匹のテントウ虫が寒さに堪えながらこちらを見ています。

星は空にしかないものだと思っていたサンタクロースの目には、地上で煌々と光る7つ星と2つ星が眩しく輝いて見えました。

でも今日は1年で最も忙しい日、トナカイもスピードを緩めてはくれません。

「あの子たちは確か冬眠するはずだ…少しくらい遅れても大丈夫だろう…」

そう思ってサンタクロースは先を急ぎました。

普通は皆んな欲しいものを願ってくれるからサンタクロースがプレゼント選びをするのは簡単なのです。

でもこの子たちからは何もお願いされていません。

「こんなことは初めてだ…どうしたものか?まぁ冬眠している間にゆっくり考えるとしよう」

こんなことを思いながらサンタクロースは今年の一仕事を終えました。

 

それから月日は飛ぶように過ぎていき、去年のクリスマスから早4ヶ月、冬眠から目覚めたなな星くんとふた星ちゃんの元にはサンタクロースからのプレゼントが届けられていました。

それは黒丸模様の描かれた赤いマントです。

なな星くんのマントには7つの黒丸、ふた星ちゃんのマントには2つの黒丸が描かれています。

サンタクロースはちゃんと2人の模様の違いまで知っていて、それぞれにぴったりなマントを届けてくれました。

でもふた星ちゃんからの提案で、2人はお互いのマントを交換することにしました。

お互いのことが大好きな2人は交換したマントをつけて嬉しそうです。

なな星くんは自分でありながらもマントをつけるとふた星ちゃんになれます。

ふた星ちゃんも自分でありながらもマントをつけるとなな星くんになれます。

何だか2人で一つになれたような気持ちになってとっても幸せな気持ちになれるのです。

ところで、どうしてサンタクロースはマントをプレゼントに選んだのでしょうか?

それにはサンタクロースからの深いメッセージが込められているのです。

マントの秘密を解く鍵は数字にあります。

数字は、ただ数を数えるだけでなくて1つ1つに色々な意味や役割があります。

なな星くんの数字にもふた星ちゃんの数字にも、2人の数字を合わせた数字にもちゃんと意味があるのです。

ここで簡単な足し算をしてみましょう。

なな星くんの7とふた星ちゃんの2を足すといくつになりますか?

そう、9になりますね。9という数字は1桁の数字で最も大きいもので「完成」を表す最高な数字です。

これが何を意味しているかわかりますか?

2人がマントを交換しようと思った理由、交換して幸せな気持ちになれた理由…それは数字の9にあるのです。

数字の意味を知らなくてもふた星ちゃんにはそうしたほうがいいということがわかったんですね。

そしてなな星くんにもそのことが自然に伝わったから、こうして2人は今幸せなのです。

きっとサンタクロースは2人がマントを交換することでその幸せに気づいてほしくてわざわざ、なな星くんになな星マント、ふた星ちゃんにふた星マントをプレゼントしたのかもしれません。

クロスする数字が生み出す最高な世界…それがサンタクロースからの本物で最高のプレゼント。

そのことがわかったら、私たちにも同じことができるはず。

今年のクリスマスも、サンタクロースはたくさんのクロスする最高な世界を空から眺めるのを楽しみにしているはずです。

https://stand.fm/episodes/65695090e2544f4d28de32c2